HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 10 Jul 2009 22:19:18 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:温暖化対策 2度上昇に抑えるには:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

温暖化対策 2度上昇に抑えるには

2009年7月10日

 温暖化問題は、岐路に立つ主要国(G8)首脳会議の象徴だ。首脳宣言通り、世界の温度上昇を二度以内にするために、年末のCOP15に向けて、途上国参加の突破口を技術支援で開きたい。

 京都議定書で温室効果ガスの削減義務を負う先進国の排出量は世界全体の三割強、「30%クラブ」とやゆされてきた。二〇一三年から始まる「ポスト京都」の削減枠組みに復帰予定の米国を含めても、ようやく半分強にすぎない。

 温暖化による破滅的被害から地球を救うという目標の実効性を考えれば、新興国、途上国の参加が欠かせないのは明らかだ。ところが、途上国側の大半は「温暖化は先進国の責任」として、わずかでも削減義務を課されることに、強硬に反対する姿勢を崩さない。

 ラクイラ・サミットの首脳宣言では「二〇五〇年までに世界全体で半減」という、これまでの長期目標を確認した。が、その上で、中国、インドといった新興国がそれに同意するならば、先進国は「80%以上を目指す」という上積みを提示した。また、欧州連合(EU)の主張をいれて「産業革命以前からの気温上昇を二度以内に抑える」ことも明記した。

 これらは、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がすでに示した「科学の要求」によっている。IPCCのシナリオでは、二度以内に抑えるには、先進国は一九九〇年比で二〇二〇年までに25−40%削減することが必要だ。日本政府が先月提示した〇五年比15%減の中期目標に比べても、先進国はかなり厳しい義務を自らに課すことになる。途上国側に強く参加を望むG8からの譲歩であり、シグナルと言っていい。

 「ポスト京都」の枠組みは、年末のコペンハーゲン会議(COP15)で決めることになっている。世界がそこで足並みをそろえるためには、先進国が、より重い数値を自らに課しただけではまだ足らない。途上国側が温暖化に対応するための資金援助と技術移転のスムーズな仕組みづくりが、成否のかぎを握るだろう。

 先進国にも、負担になるばかりとは限らない。「ポスト京都」の主導権を狙う米国は、米中戦略対話をきっかけに、中国への技術支援に意欲を見せる。途上国側のリーダー格で、世界最大級の排出国である中国へ、環境技術を売り込む狙いもあってのことだ。

 高い省エネ技術を誇る日本も、手をこまねいてはいられない。

 

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