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天声人語

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2009年7月10日(金)付

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 送っていただいた詩集をめくっていたら、「地球の最後」と題する一作に目が止まった。1960年代に、長崎県の小学校5年生が書いたという短い詩である。〈地球の、最後は、きちがい地球。万の星が、ばか地球と、よんだ〉▼東西冷戦まっただ中の、軍拡競争の時代である。子どもの想像力で核軍拡の愚かしさを表現したのだろう。全人類を何回も殺せるほど核兵器を作り、互いの国民を人質に取り合って、ボタン戦争の恐怖に地球はおびえていた▼そんな狂気を過去の逸話にする、大きな一歩になるだろうか。イタリアで開催中のサミットで「核なき世界に向けた状況をつくることを約束する」とした首脳声明がまとまった。オバマ米大統領の唱える核廃絶に、また一つ弾みがついた格好だ▼前途は容易ではない。だがオバマ氏の存在感に、やはり政治は言葉だと思う。「核を使用した唯一の国として行動する道義的責任がある」という演説を源に、軍縮の川は流れ出した。その川幅は広がり、水量は増えつつある。涸(か)らすことがあってはなるまい▼サミットに集う首脳に、スウェーデンの首相だった故パルメ氏を思い出す。80年代に広島を訪ねて大きな衝撃を受け、言葉を残した。「国際的に責任を負う国の政治家は、政権を担当したら、すべからくヒロシマを訪れるべきである」と▼核兵器を使われた国の代表として、麻生首相は首脳たちに被爆地訪問を求めてくれただろうか。「キノコ雲の下」を知ることで、遠い目標をめざす足の運びは、より確かになるに違いない。

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