HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57403 Content-Type: text/html ETag: "15d9be-15b3-9b847280" Expires: Wed, 08 Jul 2009 02:21:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 08 Jul 2009 02:21:09 GMT Connection: close 米露核軍縮 拡散防止でも役割を果たせ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

米露核軍縮 拡散防止でも役割を果たせ(7月8日付・読売社説)

 米露両国は、核軍縮だけでなく、核拡散防止でも役割を果たさなければならない。

 オバマ米大統領とメドベージェフ露大統領が、新たな核軍縮条約の枠組みで合意した。12月に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わるものだ。

 米露両国は、現在1700〜2200個と定められている戦略核弾頭の配備数を、1500〜1675個に削減する。大陸間弾道ミサイル(ICBM)など核弾頭の運搬手段も、1600から500〜1100まで削減する。

 今後、削減を確認する検証措置も明記した条文作りを急ぎ、早期発効を目指すという。

 「核兵器のない世界」を追求すると宣言したオバマ大統領にとって、究極の目標に向けての第一歩だ。合意を着実に履行し、さらなる核削減を図ってもらいたい。

 米露両国は、核拡散防止条約(NPT)で核保有国の地位を認められている代わりに、核軍縮の義務を負っている。だが、その取り組みは十分ではなかった。

 冷戦終結から20年。今なお、米国とロシアには、総計1万近い核弾頭が存在する。オバマ大統領の言う通り、「冷戦が残した最も危険な遺産」だ。

 今回の削減対象からは、戦場での使用を想定した戦術核弾頭などは、はずされている。こうした核兵器の削減や、その安全管理の強化にも努めるべきだ。

 冷戦後の世界で、核拡散の脅威は強まるばかりである。

 相次いで核実験を行ったインドとパキスタン、再度の核実験強行後も弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮、国連安全保障理事会の決議を無視してウラン濃縮を続けるイランなどにどう対処するか。

 核超大国である米露には、核拡散防止の分野でも、実効ある措置を講じていく責任がある。

 争点だった米国のミサイル防衛(MD)では、弾道ミサイルの拡散防止のための協力や多国間の情報交換などについて、協議を継続することになった。

 米国は、北朝鮮やイランの核脅威への備えだとする。だが、東欧でのMDシステム配備計画には、ロシア側に、自国の核戦力の封じ込めを狙おうとする布石ではないかとの警戒感が強い。

 経済的に軍拡競争に耐えられないロシアにとっては、米国との間で、形だけでも核戦力の均衡を維持したいのが本音なのだろう。

 中国との間の核軍縮も、米露両国の将来の重要課題だ。

2009年7月8日02時03分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です