七夕の昨日、各地で子どもたちの「星への願い」がササの枝にあふれた。そして、22日には日食が控える。空からの楽しい誘惑が続く。
岡山市にある県立児童会館は、天文や科学と子どもを結びつける拠点施設の一つ。プラネタリウムや科学展示室、遊園地などからなる。1963年の開設以来長く親しまれてきたが、県の財政難から2010年度で閉館の予定。
近代的な華やかさにはほど遠いが、なぜか引きつけるものがある。厳しい予算の中で「何とか工夫して子どもたちのために」との思いが随所に感じられるからだ。
プラネタリウムで上映されるギリシャ神話などのDVDは職員の手づくり。カーブミラーを利用して映像を拡大する工夫もした。畳のコーナーもある。寝転がって親子で映像を見るのも楽しそうだ。
科学展示室には、寄贈品や閉館した施設から譲り受けた展示物が多い。催しを終えて不要になった資材などを運び込み、遊び道具やウッドデッキをつくる試みも進んでいる。大学や高校の協力を得て、子どもたちの好奇心を刺激する企画にも力を入れる。
家族や学生とのふれあい、そして職員の情熱から子どもたちが得るものは多かろう。児童会館では「子どもの将来への種まき」という。閉館まで一粒でも多くの種をまいてほしい。