大阪市此花区の繁華街にあるパチンコ店から出火し、客ら多数が死傷した。放火とみられ、捜査本部は現住建造物等放火と殺人、殺人未遂の疑いで男を逮捕した。
出火は5日の日曜日午後だった。多くの人でにぎわう楽しいはずの休日が悪夢に変わった。火は約25分後にほぼ消し止められたが、消防隊が到着した際には出入り口から炎と黒煙が噴き出していたという。店内に一気に火の手が広がり、黒煙が充満したのだろう。
出入り口は3カ所あり、大通りに面した出入り口付近が激しく燃えていた。この出入り口から男が入ってきてガソリンとみられる液体をまいて放火し、逃走するのを客や従業員が目撃している。事件直前、現場近くのホームセンターで携行用のガソリン缶と青いバケツを買った男がいた。
出火当時、店内には客や店員約100人がいた。放火した男は終始無言だったという。不気味さが募る。パチンコ店は鉄筋6階建ての1階で、2階以上には学習塾や診療所が入居し、塾の生徒1人が軽いけがをした。屋上から救出された人もいる。
放火事件では、昨年10月に大阪市浪速区の個室ビデオ店で客16人が亡くなるなど、惨事が相次ぐ。2008年版消防白書によると、07年の放火による火災は6558件で、11年連続して出火原因の1位となった。放火の疑いによる火災を合わせると1万1142件に上り、全火災の2割以上を占める。深刻な社会問題だ。
これだけ放火が多い以上、不特定多数の人が利用する場所は放火にも対応した消火や避難態勢に万全を期すことが重要になってこよう。被害防止に生かすため、今回の事件を徹底的に検証する必要がある。