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社説2 中国は流血断つ民族政策を(7/8)

 中国・新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで5日、少数民族のウイグル族によるデモが大規模な暴動に発展し、中国国営通信社の新華社によれば150人を超す死者と1000人以上の負傷者が出た。ウルムチでは7日、ウイグル族に抗議する漢族住民のデモも起き、夜間外出禁止令が出るなど混乱が続いている。

 新疆と同様、チベット族ら少数民族が多数を占めるチベット自治区でも昨年3月、民族問題を背景とする騒乱が起きた。流血事件を断ち切れていない中国共産党政権の民族政策は見直しを迫られている。

 ウルムチ暴動について地元の当局者は、国外の分裂主義者の扇動による「計画的で組織的な」破壊活動だと断定した。一方、在外ウイグル人組織は「当初は平和的なデモだったのに警官隊の発砲や暴行を受けて暴徒化した」と指摘し、中国当局を非難している。

 当局と在外民族組織の説明が大きく食い違い、真相がわからないという構図は昨年のチベット騒乱と似ている。綿密な捜査によるはっきりした証拠を示さずに特定の勢力の陰謀だと決めつけるような共産党政権の対応では、民族問題は解決しない。一方的に情報を流すのでなく、国連など第三者的な機関の調査を受け入れ、真相解明に努めてほしい。

 新華社によると、ウルムチ当局は違法な集会の情報を事前にキャッチし警戒していたという。当局は暴動に関与した疑いで1400人以上を逮捕し取り調べているが、暴動を予防できず、市民に事前に警告を出さなかった責任も明確にすべきだ。

 今回の暴動の引き金は、6月下旬に広東省で起きた漢族との衝突によるウイグル族の死亡事件とされる。だが、根底にあるのは漢族に対するウイグル族の根深い反感だ。漢族の大量移住による経済的な圧迫や、画一的歴史観の押しつけをはじめとする教育・宗教政策への反発などだ。

 中国はいまや世界経済の最大のけん引役を期待され、多くの日本企業にとっても重要な市場だ。民族問題が原因で政治・社会情勢が不安定になれば、世界経済を揺さぶりかねない。国際社会は胡錦濤国家主席が掲げる「調和のとれた社会」にふさわしい民族政策を求めている。

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