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IT新戦略 便利さが実感できる社会を(7月7日付・読売社説)

 情報技術(IT)を使った行政サービスが進まず、医療分野などではITが十分活用されていない。政府による本格的なテコ入れ策が急務だ。

 政府が、2015年を目標にしたIT新戦略「i―Japan戦略」をまとめた。

 「i」には、ITが社会を包み込み(インクルージョン)、革新(イノベーション)をもたらすという意味を込めた。国民がITの便利さを実感できる社会を目標に掲げている。

 政府が01年以来、3回もIT戦略を策定しながら、戦略を見直すのは現状への危機感からだ。

 「米国経済の再生」を目指すオバマ大統領が、環境重視とITを融合させた戦略を打ち出し、英、仏、韓国も後を追う。世界の素早い動きに、日本が背中を押された結果ともいえよう。

 i―Japan戦略の目玉は、「国民電子私書箱」を13年度までに整備すると明記したことだ。国民がインターネット上で24時間、年金などの行政情報を簡単に入手し、住民票取得などの各種手続きを可能にする構想である。

 先行する韓国などでは、自宅のパソコンから、役所の証明書を入手できる。日本でもこうした電子政府が普及すれば便利になる。行政コストも削減できよう。

 行政情報のネット管理については、住民基本台帳ネットワークがあるが、あまり利用されていない。年金などの情報を管理する社会保障カードを11年度に導入する構想もある。

 様々な案が乱立する混乱は避けねばならない。当面は、住基カードを社会保障カードに活用するのが現実的な選択肢だが、電子私書箱はこれらを統合したものにするのかどうか。政府はよく考えて制度設計する必要がある。

 高齢者などの“IT弱者”も利用しやすいよう、配慮することが大事だ。情報漏洩(ろうえい)を防ぐ対策にも万全を期さねばならない。

 IT新戦略は、医療と教育も重点分野に掲げた。レセプト(診療報酬明細書)の電子化がほとんど進んでいないように、両分野はIT活用の遅れが目立つ。

 医師不足解消の一助に、ITを利用した遠隔医療をさらに推進してはどうか。IT教育の強化や学校デジタル化なども課題だ。

 IT投資の拡大は、産業活性化や雇用増をもたらし、成長力の底上げも期待できよう。

 このままでは、日本は世界から遅れてしまう。新戦略を空回りさせないように取り組むべきだ。

2009年7月7日01時33分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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