HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57301 Content-Type: text/html ETag: "15e5d8-15c3-12fbd700" Expires: Mon, 06 Jul 2009 23:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 06 Jul 2009 23:21:05 GMT Connection: close 質の行政改革 民間の手法を大胆に取り込め : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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質の行政改革 民間の手法を大胆に取り込め(7月7日付・読売社説)

 予算をかけず、効率化を進めて、行政サービスを向上させる――。そのためには、民間企業の発想や手法を大胆に取り込むことが肝要だ。

 政府が、行政サービスの質を高めることを通じて、国民を満足させる「質の行政改革」に取り組み始めた。

 従来の行政改革は、業務の合理・効率化を通じて、職員や費用を削減する「量の改革」が中心だった。だが、その結果、行政サービスが行き届かず、利用者の不満を招く例も少なくなかった。

 今回、行政サービスの向上や国民の満足度に重点を置く発想と視点自体は悪くあるまい。

 政府が想定する「質の改革」は窓口業務の改善や、補助金交付・許認可の手続きの簡素化、電子決裁の推進などである。

 全国の社会保険事務所やハローワークの窓口の待ち時間を短縮したり、受付時間を拡大したりすれば、利用者には便利になる。補助金や許認可の申請手続きの簡素化や審査期間の短縮も、実現すれば大いに歓迎されるだろう。

 今年度は「初動の年」として、各府省が9月までに試行的に3項目程度の業務を選び、改善計画を策定する。12月までにその計画を実施し、結果を点検する。そして来年3月までに来年度の本格的な改善計画をまとめる予定だ。

 参考にすべきは、在庫を最小限に抑え、生産を効率化するトヨタ自動車のかんばん方式に代表される民間企業の業務工程改革だ。

 かんばん方式の長所は、病院の待ち時間の短縮や、総菜会社の生産、配送、小売りのレイアウトの合理化にも応用されている。

 「質の改革」では、まず、利用者が行政に何を求めているのかを的確に把握することが第一歩となる。一部のキャリア官僚だけでなく、若手や女性、専門職などから幅広くアイデアを募り、改善策に知恵を絞ることが大切だ。

 良いアイデアを提案した職員を表彰したり、人事考課に反映させたりすることで、職員の意識改革を図ることも重要だろう。

 ただ、各省任せにするだけでは実効性ある改革は望めない。各省の成功・失敗例を踏まえ、時には成功例を強制的に政府全体に広げることも検討したらいい。

 行政改革は無論、「質の改革」だけでは十分ではない。

 補助金事業や許認可権自体の廃止・地方移管や、職員や予算の削減といった「量の改革」にも、従来以上に真剣に取り組むことを忘れてはならない。

2009年7月7日01時33分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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