雑草の生命力はすさまじい。抜いても抜いても生えてくる。少々の日照りが続いても、ビクともしない。
そんなたくましい雑草の姿に、自らの人生をだぶらせる人は少なくない。プロ野球で活躍する上原浩治投手もその1人だ。今季は巨人から米大リーグのオリオールズに移った。色紙には「雑草魂」という文字をよく記す。
なぜ、上原投手はこの言葉を好むのか。両親がつづった「雑草魂の育て方」(ゴマブックス)に、理由が紹介されている。中学時代は陸上部に所属し、日曜日だけ近所のチームで野球を楽しんでいた。
本格的に野球に取り組んだ高校では控え投手だった。大阪体育大のセレクションに落ち1年浪人。入学後も無名のままだったが、徐々に頭角を現し巨人入りした。
甲子園や野球の有名大学で活躍したエリート選手ではない。地味な経歴の上原投手が、きれいで豪華な花に負けないとする意地が雑草魂だと両親は指摘する。背番号は巨人時代から、今でも「19」にこだわる。浪人時代の19歳の苦しみを忘れないためだという。
あこがれの大リーガーとなった上原投手だが、ひじを痛めて長期療養を余儀なくされている。復帰は早くて8月末とされる。大変な苦境ではあるが、雑草魂に期待して「19番」の小気味よい投球の復活を待ちたい。