HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Last-Modified: Mon, 06 Jul 2009 17:35:23 GMT ETag: "1d96c-43f2-ee44ecc0" Content-Type: text/html Cache-Control: max-age=5 Expires: Tue, 07 Jul 2009 03:21:11 GMT Date: Tue, 07 Jul 2009 03:21:06 GMT Content-Length: 17394 Connection: close
アサヒ・コム プレミアムなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)
のちに大スターになる三船敏郎は、当初は俳優ではなく撮影部の志望だった。曲折があってニューフェースに回されたという。「男のくせにツラで飯を食うのは好きじゃない」と、本人はふてくされていたそうだ。豪胆で売った役者らしい逸話である▼ひるがえって、いまの永田町には「ツラで飯を食いたい」面々が目立つようだ。自らの顔ではなく「党の顔」で、である。選挙を前に、少しでも有利な「顔」を欲してうごめく。そんな「麻生降ろし」を国民は冷ややかに見ていることが、小紙の世論調査でわかった▼小選挙区制になって「党の顔」の重みは増した。器量の良し悪(あ)しは気になろう。だが去年の秋、麻生氏を選んだのは他ならぬ自分たちだ。なのに損得ばかりを天秤(てんびん)にかけ、右往左往するさまは、情けなく映っているに違いない▼だが首相の苦境も覆いがたい。人事権と解散権という「二本差し」のうち、前者は、抜いてはみたが錆(さ)びて満足に切れなかった。後者は、もはや飾りの竹光のようにも思われる。静岡県知事選を落とし、東京都議選いかんでは立ち往生が待っている▼一方で、民主党の顔、鳩山代表も不可解な「故人献金」で化粧がはげた。「国民は民度に応じた政府しか持てない」という箴言(しんげん)に、ため息をつくしかないなら、国民はやりきれない▼「党首力」は軽くはなかろう。だがツラに話を戻せば、「他人の顔で相撲は取らぬ」ぐらいの気概が若手議員にはほしい。目先のことに汲々(きゅうきゅう)とする政治屋か、否か。有権者の目は、そんな所にも敏感である。