衆参両院に設置された憲法審査会の休眠状態を打開する第一歩がようやく動き出した。衆院は先月、自民、公明両党の賛成多数で審査会規程を制定し、衆院解散・総選挙後の国会で始動させる態勢を整えた。参院でも速やかに憲法審査会規程の制定を進めるべきである。与野党は投票権の18歳引き下げに伴う課題にも積極的に取り組んでもらいたい。
2007年5月に成立した国民投票法に基づき衆参両院に憲法審査会が設置されたのは同年8月である。しかし、民主党が委員数や表決方法など審査会の運営ルールを定める規程の制定に強く反対し、2年近くも休眠状態に置かれてきた。
民主党は反対の理由として「国民投票法は強行採決であり、自民党に反省や謝罪がない」と主張しているが、こうした批判は根拠に乏しい。国民投票法は国会審議や与野党協議に十分時間をかけ、民主党の主張もかなり取り入れられている。
民主党の反対は選挙を控えて、改憲派と護憲派が入り交じる党内の結束を乱したくない、護憲派の社民党との共闘態勢を崩したくないとの党略的な思惑を優先したためと見られても仕方がない。
参院は民主党など野党が多数を占めているが、いつまでも不正常な状態を続けるのは好ましくない。解散・総選挙が終われば、もう反対を続ける理由もなくなるだろう。民主党の西岡武夫参院議運委員長はかねて審査会規程の制定に前向きな姿勢をにじませてきた。参院でも規程の早期制定を望みたい。
国民投票法は施行が3年間凍結され、憲法審査会で具体的な改正案が審議できるようになるのは来年の5月18日以降になる。それまでの間、審査会で憲法上のさまざまな課題や論点について与野党の建設的な論議の積み重ねが期待されたが、すでに2年間も時間を空費してきた。
国民投票法では投票権を18歳以上と定めており、公職選挙法上の参政権年齢や民法上の成人規定など関連法令についても「施行までの間に、法制上の措置を講ずる」としている。投票権引き下げは民主党が提唱したもので、わたしたちも支持してきた。民主党はこうした課題に積極的な役割を果たすべきである。