HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57730 Content-Type: text/html ETag: "104018-15a5-25eb6ec0" Expires: Sun, 05 Jul 2009 03:21:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 05 Jul 2009 03:21:09 GMT Connection: close 米軍撤収 イラクの治安は大丈夫か : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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米軍撤収 イラクの治安は大丈夫か(7月5日付・読売社説)

 イラク情勢が新しい局面を迎えた。

 イラクに駐留する米軍戦闘部隊が、都市部からの撤収を完了した。オバマ米大統領が示していた計画に沿ったものである。

 この動きが、オバマ大統領が目指すイラク戦争の「責任ある幕引き」の第一歩となるか。当事者であるイラク政府と米国の努力ばかりでなく、国際社会の支援がこれまで以上に重要になろう。

 米軍撤収で、まず懸念されるのは、治安である。

 オバマ大統領は「治安は確実に改善している」との認識を示しているが、情勢は、必ずしも楽観できるものではない。

 撤収の時期を見計らったかのように、5月下旬以降、各地で大規模テロが続発し、6月の死者数は前月の3倍近くに上った。

 主として、イスラム教シーア派地区やクルド人地区が標的になっているところから、宗派・民族間の対立を再燃させようとの狙いがあるものと見られる。

 米軍に代わって治安維持を担うイラク治安部隊に対する国民の不信感を増幅させることも、武装勢力の目的だろう。

 イラクのマリキ首相は、「米軍には頼らない」と述べているが、治安部隊は、装備、訓練、規律面での不備や不足が指摘される。その強化が急務である。

 マリキ首相が取り組むべき問題は、治安だけではない。米軍撤収でイラクは、主権回復への新たな段階に入ったが、山積する課題を見れば、道のりは依然険しい。

 何より、宗派・民族間の融和が進んでいないことが、大きな懸念材料である。その重要性は何度も指摘されてきた。各派とも、自らの権益拡大には熱心だが、その熱意を国民融和へ振り向けることはなかった、とされる。

 武装勢力のテロ攻勢も、各派が見せるスキにさらにくさびを打ち込もうとする動きでもあろう。足元を見られてはなるまい。

 豊富な石油資源の開発や配分法などを定めるはずの石油法が成立していないことも、気がかりだ。取り扱いを誤れば、国家分裂の原因にさえなりかねない。

 マリキ首相のみならず、各派指導者は早急に、有効な打開策を見いださなければならない。

 石油法が未整備のまま最近、油田とガス田の開発を巡る国際入札が行われた。外国企業の参入で生産量を増やす狙いがある。ただ、石油法もない中での見切り発車を不安視する声は強い。その意味でも法整備は急がれよう。

2009年7月5日01時55分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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