HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 04 Jul 2009 21:19:31 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:日に三箱もたばこを吸う人に禁煙を勧められても、聞く人はいな…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年7月4日

 日に三箱もたばこを吸う人に禁煙を勧められても、聞く人はいない。忠告に従うか否かは、どんな相手に言われるかで決まる部分が大きい▼オバマ米大統領が「核なき世界を目指す」と宣言したのは立派だ。世界一の核大国の指導者が言うからこそ意義深いが、逆に、山ほど核兵器を持ったままで核廃絶を言うことの不自然さもないわけではない▼そこへいくと、わが国は唯一の被爆国であり、核兵器なんて愚かなものは金輪際持つ気がない。だから「核の番人」と呼ばれる国際原子力機関(IAEA)のトップに初めて日本人が選ばれたこと自体、何の不自然さもない▼この分野で日本が持つ“説得力”は、ある意味、どの国よりも大きいはずで、第五代事務局長となる天野之弥(あまのゆきや)さんにはそれを十分生かしてほしい。ただ、IAEAが取り組む核問題の「結び目」は、それだけで解きほぐせるほど緩くないのは無論である▼そも、核保有国が自分たちだけは核兵器を持っておいて、非保有国にあれこれ注文をつけるという身勝手な矛盾を構造にはらむ。緊急課題として、新事務局長を待ち受けるイランや北朝鮮への対応も根はそこにかかわる▼アレキサンダー大王は誰にも解けなかった<ゴルディウスの結び目>を一刀のもとに切り捨てた。それにも劣らぬ厄介な「結び目」だが、こっちは我慢強くほどいていくほか手はない。

 

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