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IAEA新体制 実効ある核拡散防止に動け(7月4日付・読売社説)

 原子力の平和利用と、核拡散防止の両面で、日本の実績が信任された結果でもあろう。

 在ウィーンの天野之弥(ゆきや)代表部大使が、国際原子力機関(IAEA)の次期事務局長選で当選を決めた。

 日本にとっては、数少ない国際機関のトップのポストだ。日本の発言力強化にもつながる。天野氏には、11月に退任するエルバラダイ事務局長の後任として、大いに指導力を発揮してもらいたい。

 IAEAは、原子力の平和利用を促進する一方、軍事転用されないよう監視する役割を担った重要な国際機関だ。2005年、エルバラダイ事務局長とIAEAはノーベル平和賞を受賞している。

 だが、IAEAは、結局、北朝鮮やイランの核開発を阻止することにはことごとく失敗した。

 1990年代初めにイラクが秘密裏に核開発していた事実が発覚し、IAEAは、未申告の施設でも短時間の通告で査察ができるとした追加議定書を採択した。

 しかし、北朝鮮のように、議定書に見向きもせず、核拡散防止条約(NPT)からの脱退を宣言して公然と核兵器開発を進める国には、何の役にもたたなかった。

 追加議定書に署名はしたが未批准のイランも、国連安全保障理事会の制裁決議を無視して、ウラン濃縮活動を公然と続けている。

 北朝鮮やイランに追随する国を出さないよう、実効ある核拡散防止策をいかに具体化するか。それが天野氏が担う重い課題だ。

 エネルギー需要の拡大や温室効果ガス排出削減の見地から、世界で、原子力利用は拡大する趨勢(すうせい)にある。その中で、核兵器開発につながる技術の拡散に歯止めをかけることは、拡散防止強化の重要な一策となる。

 ウラン濃縮や再処理施設を国際管理下に置く。そうした施設を断念した国には核燃料の安定的な供給を保証する。そんな構想が、すでにいくつも提唱されてきた。

 だが、「持つ国」と「持たざる国」に二分化するもの、とする途上国側の強い反発もあって、実現には程遠いのが現状だ。天野氏に対する3分の1近い不信任票も多くはこうした途上国とされる。

 当選後の記者会見で、天野氏は「すべての加盟国が結束する必要がある」と強調した。対立を解消し、平和利用と不拡散強化の両立を図りたいとの意欲の表れだろう。具体化へ行動が問われる。

 核テロ防止など新たな脅威への対処も、IAEAの責務だ。天野氏が取り組むべき難題は多い。

2009年7月4日01時52分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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