HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57179 Content-Type: text/html ETag: "104028-15e5-dde61d00" Expires: Fri, 03 Jul 2009 03:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 03 Jul 2009 03:21:05 GMT Connection: close 日銀短観改善 なお残る景気失速の懸念 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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日銀短観改善 なお残る景気失速の懸念(7月3日付・読売社説)

 せっかく下げ止まった景気が失速しないよう、きめ細かな景気対策の継続が欠かせまい。

 日銀が1日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景気認識を示す業況判断指数が、大企業の製造業でマイナス48と、前回の3月調査より10ポイント改善した。大企業の非製造業も2ポイント高いマイナス29と、わずかながら改善した。

 大企業の業況判断が上向くのは2年半ぶりだ。減産効果で売れ残りの在庫が減り、中国向けなどの需要も回復した。景気対策の追い風もあり、自動車や電機など主力産業の企業心理が好転した。

 だが楽観はできない。個人消費や住宅販売など内需は相変わらず低調で、建設やサービスなど、非製造業を中心とした内需関連業種の指数は悪化が続いている。

 中小企業はさらに厳しい。製造業は横ばいのマイナス57で、非製造業は2ポイント低いマイナス44と、2年以上も悪化し続けている。

 サラリーマンの7割は中小企業で働いているのだから、政府の「景気底打ち宣言」に首をかしげる人が多いのも当然だろう。

 大手の製造業で先行した回復の動きが全体に及ぶには、消費と並ぶ内需の柱である設備投資の復活が欠かせない。

 今回の短観で、回復の兆しが見えるとの期待もあったが、結果は厳しかった。

 今年度の設備投資計画は、大企業がマイナス9%、中小企業はマイナス37%と、そろって過去最大の落ち込みだった。内外の販売不振で、企業は工場や店舗の新増設などに極めて慎重なままだ。

 5月の家計調査で、一般世帯の消費支出は1年4か月ぶりに増えたが、これは定額給付金や省エネ家電のエコポイントなどに後押しされた影響が大きい。対策の効果が出尽くせば、景気は「二番底」へ向けて落ち込みかねない。

 政府・日銀は、効果が切れていないか、追加策は必要ないか、入念に点検せねばならない。

 消費の本格回復には、生活を支える社会保障や雇用の安定が肝要だ。そのための予算の手当てを惜しんではならない。同時に消費税率の引き上げなど、安定財源確保の道筋を示さないと、将来への不安から財布のひもは固くなる。

 短観によると、企業は来年度の新規採用を2割以上削減する計画という。「就職氷河期」の再来は防がねばならない。政府は、内定が取れない学生のための就職面接会など、対策を講じてはいるが、さらに策を練ってほしい。

2009年7月3日01時52分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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