鳩山由紀夫民主党代表の資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書に、数多くの虚偽記載があったことを鳩山代表が自ら認め、陳謝した。
2005年から08年の4年間で、報告書に記載された約90人、193件の個人献金が、実際には献金者が献金していなかったり、故人だったりした虚偽の記載だった。総額は2177万8千円に上る。原資はすべて鳩山代表本人の資産で、経理実務担当者が独断でやっていた。いわゆるヤミ献金など不正なものは含まれていないという。
鳩山氏は会見で「経理担当者が、私への個人献金があまりに少ないので『大変だ』と思ったようだ」と述べた。しかし、この説明では、虚偽記載した動機や何年も続いた経緯などは不可解だ。
西松建設の巨額献金事件を受け、民主党は政治資金規正法改正案を衆院に提出するなど、企業・団体献金から個人献金に移行する方向で取り組んでいる。その党代表の資金管理団体が、個人献金を装った虚偽記載をしていたのでは、国民の政治不信は増すばかりだ。
鳩山代表は「党代表というより鳩山個人の事務所の問題だ」とし、“個人の問題”に収めるつもりのようだ。「説明責任を果たす中で、代表としての責任を果たしたい」とも述べており、民主党内から表だった責任追及の動きはみられない。目前に迫ってきた衆院の解散・総選挙への影響を、できるだけ押さえ込みたいという思惑が先行しているのだろう。
しかし、西松事件で、いったんは続投した小沢一郎氏が代表辞任に至ったのは、国民への説明が不十分だったことが背景にある。鳩山代表は、党代表として虚偽記載問題の説明責任を果たさなければなるまい。