HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57796 Content-Type: text/html ETag: "15e563-1646-385679c0" Expires: Wed, 01 Jul 2009 20:21:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 01 Jul 2009 20:21:09 GMT Connection: close 閣僚補充人事 「政権浮揚」にはほど遠く : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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閣僚補充人事 「政権浮揚」にはほど遠く(7月2日付・読売社説)

 大騒ぎしたあげくがこれなのか。ここ1週間の麻生首相と自民党とのドタバタ劇の結末をみて、そう感じる人は少なくないだろう。

 首相や側近らが政権浮揚を狙ってもくろんだ党役員人事や内閣改造は、尻つぼみに終わった。

 首相は1日、与謝野財務・金融相が兼務していた経済財政相に林芳正(よしまさ)・前防衛相を、佐藤総務相が兼ねていた国家公安委員長には林幹雄(もとお)・自民党幹事長代理を充てることを決めた。

 兼任が多かった閣僚の負担を軽くする補充人事なのだろう。

 しかし、今回の混迷は、首相の指導力不足を露呈させる一方で、党内に亀裂を生んだ。首相は、この混乱を収束させることができるのかどうか。

 首相はまず、目前の地方選挙や政策課題の処理に全力をあげるしかあるまい。

 今回の騒動は、首相の言葉に端を発している。衆院解散の時期について「そう遠くない日」と思わせぶりに語り、3日の東京都議選告示前の解散をにおわせた。

 8月上旬の衆院選投開票をめざし、選挙態勢を強化するには、人事を刷新する以外にはないと、首相は判断したようだ。だが、党内の大勢は強く反発した。

 この騒ぎの前にも、首相には、日本郵政の社長人事をめぐる判断ミスや、厚生労働省の分割・再編問題の不手際などが続き、内閣支持率も低落していた。

 政権の体力が弱っている時の人事は鬼門だという過去の教訓に思いが及ばなかったのだろうか。

 結局、人事刷新構想は、党内だけでなく、連立相手の公明党からも拒否され、首相は四面楚歌(そか)のような状況に追い込まれた。

 誤算続きの首相にとって頭が痛いのは、今回、火がついた「麻生降ろし」が簡単には収まりそうにないことではないか。

 目前には、自民、民主両党の推薦候補が大接戦を演じている静岡県知事選や、両党の第1党争いが注目される東京都議選がある。結果次第では「首相辞任」を突きつけられかねない。

 会期末が迫る国会では、北朝鮮に出入りする船舶を調べる貨物検査特別措置法案や水俣病の未認定患者を救済する法案、衆院を通過している臓器移植法改正案など、重要法案も残っている。

 首相が、衆院解散・総選挙に打って出るというなら、これらをきちんと処理したうえで、「日本の安心社会への道筋」を具体的に示すべきだろう。

2009年7月2日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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