HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 01 Jul 2009 23:19:07 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:大幅人事断念 これで解散できるのか:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

大幅人事断念 これで解散できるのか

2009年7月2日

 迷走の末、なげやり感もにじむ結末だ。首相が狙った自民党役員と内閣改造人事は党内の反発にあって閣僚補充にとどまった。政権のエネルギーが急速に失われている。これで衆院解散できるのか。

 麻生太郎首相が方針を示しながらも、自民党内の調整にしくじり結局うやむやになってしまう、そんなことがまた起きた。厚生労働省の分割話のように。そのたびに「決断できない首相」のイメージが強まっていた。それがついに人事権まで事実上封じられた格好だ。

 衆院解散の時期を「そう遠くない日」と語った首相の戦略は明快だった。内閣支持率10%台の不人気を払拭(ふっしょく)するため、党役員人事と内閣の大幅改造に踏みきり、勢いをつけて選挙戦に突入する、特に要の幹事長は地味系の細田博之氏を代えて選挙の「顔」になりうる人物を起用する−。

 だが、五日の静岡県知事選、十二日の東京都議選、そして総選挙を前にした司令塔交代の構想は、思いのほか党内の不興を買った。

 首相を支える最大派閥町村派が身内の細田氏切りに態度を硬化させ、執行部内からも大ブーイングが起きた。首相は「現時点では考えていない」「前から考えていた」と日替わり発言をした揚げ句、実行できたのは閣僚の兼務を解消する補充人事だけだった。

 一部盟友の意見を重視し、根回しもなしに人事を断行しようとしても、うまくいくはずもない。求心力が乏しい現状を考えればなおさらのことだ。このつまずきでさらに遠心力が働くだろう。

 兼務解消のための人事として経済財政相に林芳正氏、国家公安委員長に林幹雄氏が起用された。取りざたされた東国原英夫宮崎県知事の入閣はうわさ話で終わった。選挙向けの打ち上げ花火にしたかったはずの当初の狙いは全く当てが外れてしまった。

 静岡県知事選、都議選の結果次第では、麻生降ろしに拍車が掛かるともされる。それに先手を打つ人事の頓挫で、執行部すら把握できていなかったことが明らかになった。

 自民党にも自分たちが選んだ総理・総裁を本気で支える勢力がほとんどいないことも分かった。事態は深刻だ。

 首相自身がまいた種とはいえ、代償はあまりに大きい。首相は自らの手で解散すると言い続けている。私たちは速やかな決断を求めてきたが、人事権さえ思うように行使できないのでは、解散に踏み切れるのか心もとない。

 

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