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社説2 景況感改善でも残る不安(7/2)

 日銀が1日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が3月の前回調査に比べ上昇した。企業の景況感が持ち直したのは2年半ぶりだが、設備投資の減少や雇用悪化は続いており、景気の本格回復の展望は開けていない。

 昨年秋のリーマン・ショック以降の輸出の急激な落ち込みで、在庫が急増した製造業は生産調整を急ピッチで進めた。春先にはその在庫調整が一巡し、中国向け輸出の回復などの支えもあって鉱工業生産は3月から増加に転じた。

 短観での大企業・製造業のDIの改善は、在庫調整の進展で多くの企業が「最悪期は脱した」と判断していることを示しているのだろう。

 だが、改善したといっても大企業・製造業のDIの水準はマイナス48で、日本の金融システム不安が強かった1999年3月と同程度だ。まだまだ景気は悪いとみている企業が圧倒的に多い。非製造業や中小企業の景況感はさらに厳しい。大企業でも非製造業のDIは小幅改善にとどまり、中小の製造業は横ばい、中小の非製造業は悪化している。

 在庫調整が一巡しても、本格的な需要回復が見込みにくいなかで、企業は設備投資と雇用の抑制の手を緩めていない。2009年度の設備投資計画は、大企業・製造業で前年度比24.3%減と6月調査としては過去最大の減少率となった。09年度の新卒採用計画も全産業で前年度比8.2%減と、就職氷河期だった03年度以来のマイナスだ。

 政府は6月の月例経済報告で事実上の「景気底打ち」を宣言したが、景気の先行きにはなお不安材料も多い。米国や欧州も含めた海外経済が年後半から来年にかけて持ち直すのかどうかが大きな焦点だ。所得の減少と雇用情勢の悪化が続くなかで国内消費が底割れする懸念もある。

 政府・日銀は昨年秋以降、財政出動や金融緩和などの危機対応の対策をとってきた。だが、日本経済を持続的な成長軌道に乗せるには、一時的な財政・金融面の対策だけでは不十分である。中長期の成長力強化につながる規制や制度の改革をさらに加速しないと、日本経済の再生はおぼつかない。

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