HTTP/1.0 200 OK Age: 1 Accept-Ranges: bytes Date: Tue, 30 Jun 2009 20:21:27 GMT Content-Length: 13902 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Zeus/4.2 Last-Modified: Mon, 29 Jun 2009 14:37:51 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

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春秋(6/30)

 「本社なんか無い方がいいんだよ」。現場に偉そうに口出しする本社の管理部門は不要だという意味である。過激な発言の主は、松下電器産業(現パナソニック)の社長だった山下俊彦さんだ。少々乱暴な言い方だが本質を突いている。

▼同席した広報担当者は「そうだろう、君」と同意を求められて戸惑っていた。1977年に創業者の松下幸之助相談役の意向で、平取締役から24人の先輩を飛び越して社長に抜てきされた。「選んだ方にも責任がある」と言い放った山下さんは松下の官僚的体質を改めようと意識改革に取り組んでいる最中だった。

▼事業部育ちだけに、現業部門を本来支援すべき本社部門が逆に、詰まらぬことにまで指図するのが我慢できなかったのだろう。官僚は仕事の量とは関係なく自己増殖するという「パーキンソンの法則」がある。企業もよく注意しないと、管理部門は社長の権威をかさに着て、仕事を増やし権限を拡張しようとする。

▼現在、不況対策や、何だかんだで、本社は結構忙しい。しかしへたをすると、仕事のための仕事になり、作文に終わる恐れも少なくない。一銭の稼ぎにもならない紙の上の仕事を減らして、現場を強化するのが経営者の務めではないか。いま大事なのは「紙上重視」でなく、顧客に目を向けた「市場重視」である。

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